東海地方、特に名古屋エリアでは「おこしもの」とか「おこしもん」というお菓子をおひまさなの時にお供えするそうです。
おばあちゃんからおかあさん、娘へと伝えられている文化のようですが、他のエリアの人たちはほとんど知らない風習かもしれません。
「おこしもの」専用の木型があり、お花の形だったり女雛男雛の形だったり、宝船、桃、たけのこといった伝統的な文様から、かわいい動物、マスコットの文様までさまざまな木型が存在しています。
落雁の木型よりも断然大きいです。縦横10cm以上はあるでしょうか。
また桜の木を使う落雁の木型と違って「おこしもの」の木型はヒノキを使います。
少し柔らかめの木を使うのは和菓子職人さんが叩いて作る「打ち物」としての落雁用ではないから。
家庭でおばあちゃんおかあさん娘たちが一緒におしゃべりしながら楽しんで形作るから、など色々の説があるようです。
とても興味があったので、瀬戸市に行った際に探し回ってみた結果、ある仏壇屋さんでたくさん売られていることを発見しました。
なぜ仏壇屋さんに?と思いましたが、仏壇用のお道具類の細工を施す彫り師さんが本来のお仕事の合間に作っておられるとか。
昔はどこの家にも一つや二つ必ずあった木型ですが、今では需要が減っているそうです。
この地方の人でも、実際に家で「おこしもの」を作る人はほとんどいなくなり、スーパーや和菓子屋さんで買い求める人がほとんどだそうですから。
そして落雁との一番の違いはその製法です。
落雁・・・寒梅粉+砂糖+水 これで木型に詰めて出来上がり。
おこしもの・・・米粉+水 このあと木型に詰めて色付けしてさらに蒸します。
基本、「おこしもの」は砂糖を使わずに作り、食べる時に砂糖醤油をつけていただきます。
また色付けは蒸す前、蒸した後、さらには色のついた生地を白生地と一緒に木型に詰めるという方法もあります。