越乃雪・新潟県

新潟県/越乃雪

新潟、長岡市の銘菓である『越乃雪』は日本三大銘菓の一つです。(あとの二つは島根県松江市の『山川』と石川県金沢市の『長生殿』)

 

 いずれも和菓子のカテゴリーでは押し物または打ち物に属し、いわゆる砂糖系の干菓子です。

 

病に臥せっていた長岡藩第九代藩主牧野忠精(まきのただきよ) 侯に献上されたお菓子が始まりといいますから、江戸時代の安政から文化の時代にかけて、かれこれ200年以上も歴史のある銘菓です。(大和屋のHPより)

材料は越後の上等のもち米の寒晒しと四国特産の和三盆糖と氷砂糖、つまりお米の粉と砂糖のみです。

 

一辺2.5cmの真四角は角砂糖と同じぐらいの大きさ。しかし角砂糖と違って強くつかめないほど、はかなくも脆いお菓子です。

慎重に一つ口に含むと、全く口を動かしていないのにじわじわと広がる水分(唾液)がゆっくりと、しかし確実に『越乃雪』を溶かしてしまいます。まるで甘い雪を口に含んだかのごとく。舌の上でゆっくりと溶けた『越乃雪』によって、今度は和三盆の香りが口いっぱいに広がります。口を動かさずとも歯を使わなくとも味わえる美味の感覚、その奥ゆかしさ、その遠慮がちな品性といったらさすがです。これこそが日本三代銘菓の所以かと妙に納得してしまう味わいなのです。

 

越後産のもち米は、ふかして乾燥→砕いて粉末にする→ふるいにかける→鉄板で煎る という工程を経て丁寧に作られた寒梅粉系のもち粉。(日本銘菓事典より)

 

砂糖は「生」と呼ばれる和三盆糖を使うと書いてあります。一般的な和菓子には「かわき」と呼ばれる和三盆を使うことがほとんどですが、「生」は水分を多く含み重たい感じがする一方で和三盆独特の風味は一段と強いのが特徴だそうです。(大和屋のHPより)

 

『越乃雪』たる所以は、「米どころ越後のもち米」+「生の和三盆糖」を使って独特のしとりをどの程度持たせるかに尽きると思われ、その配合はなんと一子相伝だそうです。(日本銘菓事典より)

 

普通の落雁よりもずっと脆く、見た目の華やかさもなく、ただただ雪深い越後の雪原風景を彷彿とさせる『越乃雪』。こういうシンプルなお菓子こそが何世代にも亘って食べ伝えられる日本を代表する和菓子なんだと思うとなんだか嬉しくなってしまいました。

 

お茶席のお干菓子としてはもちろん、お煎茶でも紅茶でも、はたまた珈琲にだって合いそうなシンプルな『越乃雪』バンザイ!

 

越乃雪本舗大和屋

http://www.koshinoyuki-yamatoya.co.jp